こころをばなににたとへん

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こころをばなににたとへん


こころはあじさゐの花


ももいろに咲く日はあれど


うすむらさきの思い出ばかりはせんなくて


Sakutaro Hagiwara

 


社会学者、見田宗介曰く日本で家ごとに花を飾るのは、近代になってから出来た習慣で、江戸期までは、たとえ子供であっても花をむしる事は止められたんだそうです。


花はこの世にいっぱい咲き乱れているヒエロファニー


緑の茎、枝の先端に、いきなり出現する、鮮明な赤や黄色は、聖なる異世界からこの世に現れ出た、感動と畏れに満ちたもの。

 


手向くるや むしりたがりし 赤い花

 


一茶が最愛の娘を亡くし、お前がむしりたがった花、今お前に手向けてあげられるよ、こう詠んだ一句が、心に沁みる。

 

花にうつし世を思うた昔人なら、この艶やかな紫陽花を見て、なんと言うだろうか。